失敗とは?
新しい挑戦への第一歩
近藤 賢と谷藤 毅の二人は
いかにして失敗し再挑戦に向き合えたのか。
営業職時代(沼津営業所)は谷藤が上長。その後、それぞれが事業立ち上げの主幹担当としての経験を経て、現在は営業支援部では近藤が上司、谷藤が部下として協力体制を築き「変化や失敗を恐れず、果敢にチャレンジをする日々」を邁進中。そんな二人が語る事業への挑戦と失敗で自学し、導かれた今の自分について。
STORY 01チャレンジのはじまり。
2008年に起きた世界的金融危機リーマンショックはアルバイトタイムスにとってもターニングポイント。求人広告収入が落ち込みマーケットが縮小傾向にある最中、会社のリソースを使いながら新事業やサービスに挑戦しようと、いくつかのプロジェクトが立ち上がっていました。
当時、求人広告営業を担当していた近藤と谷藤。静岡県東部地域の営業を務めていた近藤が任されたのは、三島市〝ふるさと雇用再生特別対策事業〟の一環として、女性の就業支援サービスを運営する「Lashecl~らしくる~(以降、らしくる)」の事業所長。ほぼ時を同じく、沼津営業所の所長だった谷藤は社内の〝地域活性化プロジェクト〟として「Dogフェスタ」の企画・運営責任者を兼務することに。
入社3年目の27歳の近藤は、「リーマンショックで伊豆半島をローラー営業で一周しても一件の求人広告も無い状況でありながら、アルバイトタイムスには新たな挑戦に向かおうとするポジティブなムードがあったと記憶しています。私自身、新事業への挑戦はゼロベースではあるものの未知の領域に踏み込んでいくことへのわくわく感がありました」。
35歳の谷藤は浜松営業所長「20代後半で管理職となり、数年経過していた当時、新たな市場やミッションへの挑戦は、成長意欲を掻き立てるには絶妙な時期で、会社としても既存の求人事業だけに頼らない、第2、第3の種の必要も感じていていました」。
STORY 02事業の立ち上げと変化の時。
「らしくる」は失業中の主婦を対象に静岡県東部エリアで職業無料紹介所を展開。「ブランクの研修や託児所との提携など、求職者の幅広いニーズに対応する事業プランでした。「求職者の課題を解決するため地域と新しい関係を作る取り組みでは、キャリアカウンセラーの資格をとり、求職者のリアルな声を聞くことを重視しながら開業準備をはじめました」。
それは、27歳の近藤が自らの変化と成長のはじまりでもありました。立ち上げ時の高揚感は、僅か1ヶ月でご飯が喉を通らないほど(近藤)苦悩の日々に。「目上のスタッフを管理する難しさを痛感。自分より人生の先輩を管理しチームを束ねていくには、相手を変えるのではなく、自分を変えること。コミュニケーションのスタンスを変える必要がありました。
それと、誰にでも良い顔をして責任をとろうしない態度では事業は前進しません。ここぞという時にズバッと言える力、決めるべき時に判断する力は、当時の私にはなかった必要不可欠なスキル。決断することで協力する人が現れ、事業に推進力が得られるものと今では確信しています」。
10月にイベントをやるので頼みます…はじまりは、上長(現:取締役)からの投げかけでした。運営スタッフの程度の話と思っていた谷藤。「最初の打合せでびっくり、主催者側で、しかも、準備期間は2ヶ月。イベントは合同企業面接会『シゴトフェア』を経験したくらいで、当時のアルバイトタイムスにとっても新市場への挑戦。つまり素人。イベント当日に向けての準備や計画立てなど、関係企業に聞いて回ることからスタートしました。
2011年秋は、東日本大震災の後でもあり、地域を盛り上げるためにも成功させたいと熱意だけは充分。いっそ、この短期間に地域の方との関係性を深めていこうと思いました」。静岡県沼津市の門池公園を会場に、ペットを飼っている人と地元企業とのマッチングを図ることを目的にした参加型イベントは、結果的に収支も含め成功を収めました。「幅広い年齢の方に参加いただき、〝新たな出会いがあった〟〝続けてやってほしい〟といったリアルな声も寄せられ、地域のニーズの発掘につながりました」と、谷藤は振り返ります。
当時の事業ドメインは情報発信サービス。求人情報とペット情報を発信していく事業は順風満帆のスタートとなる。しかし、その後のSP営業部部長としての中長期戦略では苦悶の日々が谷藤を待ち受けていました。
STORY 03失敗から得たものと現在。
三島市の助成金事業でもあった「らしくる」に与えられた2年半の期間ではマネタイズできなかった近藤。「事業として自立自走させるスキルが足りませんでした。思い返せば事業ビジョンを詰め切れておらず、何千人という主婦の求職者との接点や人材プールを持ち得ながら、マネタイズできなかった自分はふがいないです。事業休止が決まった時、スタッフを前に涙したことは忘れません」。
悔しさと成し遂げられなかったことへの虚無感は次の挑戦の機会を与えられることで切り換えられたと近藤はいいます。「失敗は自分のせいなので、それを糧に自分をどうチェンジできるかポジティブに捉え、なぜ失敗したのかとネガティブに陥らずチャレンジを続けていくことが大切だと思います。
そして、チャレンジを続けている先輩や上司の背中を間近で見て、落ち込んでいる場合じゃないぞと。最初のチャレンジに失敗したことで、求職者間の課題を解決する事業をやってみたいと強く思うようになりました。再挑戦では自分で種もリソースも持ってくると決めています」と、近藤は笑みを見せます。
「Dogフェスタ」は、これまでにアルバイトタイムスが経験したことのない、新しい市場で、新たな人や考え方との出会いを創出。地域活性化プロジェクトとして、更なるサービスと事業の拡大を期待されていました。谷藤はSP営業部部長に昇格、結果を出すための必要なスキルを身に付けるため名古屋のビジネススクールへの通学をはじめました。自己成長への強い意欲と目覚めは「機会が人の成長を促すのではなく、与えられた機会に本人が学びを積み重ねることで成長を生む、と思っていました」。
しかし、フリーペーパー「Wonderful style」の創刊やwebサイトでの発信、静岡県から東海エリアへと事業展開を拡げていく中長期計画を収支面で軌道に乗せることはできず、事業終了を前に事業企画部への移動と降格を命じられました。
「間違った発想ですが、誰々がやらないからうまくいかないと自分ができない口惜しさを人のせいにしていました。事業を成功させたい想いの裏返しで、周囲が見えなくなるほど突っ走る時期があって、見えてくることもあると思います。今は失敗で気づかされた自分に足りないものが改善されれば、当時よりも、成功に近づけると思っています。後悔先に立たずの典型ですね…。」と谷藤は語る。
その後、事業企画部で新事業を立案する役割を得たものの「会社の中で事業を立案する人には成り切れず、苦しい一年でした。種を植えられないことは苦しい、でも探してきた種の芽を出せなくても、会社の中で出てきた芽を成長させる人になれたら良いのではないか」と、思うように。今では年齢やキャリアに関係なく、知らないことは聞く姿勢を身に付け、人を見習い、人を受け入れることの大切さを知った谷藤は、再挑戦への道が拓かれるために成長を続けています。
STORY 04失敗が生み出す成長。
現在の二人は、営業支援部で近藤を中心にアルバイトタイムスを〝地域の仕事をかっこよくしていく会社〟として、発信していくプロジェクトをはじめたばかり。「仕事を通じて学べるアルバイトタイムスを社内外に伝えていきたいと思います」と、語る近藤は「社会人はチャレンジの先に成長があります。チャレンジを楽しみ、失敗しても再挑戦を応援する環境があって、成長のために自学することが大切」と話します。
一方、谷藤も「アルバイトタイムスで成長したいのであれば、チャンスを与えてくれる環境をポジティブに捉え、難易度の高い課題にもチャレンジし続けていくこと。失敗を恐れてチャレンジしない人ではなく、たとえチャレンジに失敗したとしても自分に足りないものに気付く人であれば、成功の道は拓かれていくはず」と語ります。
失敗を経てきた二人がお互いの強みと弱みを補完し合いながら新たな気づきを探し得ることで、営業支援部のチャレンジは成功に導かれ、更なるチャレンジに続いていくのです。